武道館にファンファーレが鳴り響いて泣いた話
2018.12.1(土)
新大阪の駅のホームで私は今にも踊りだしそうな気分で東京行きの新幹線を待っていた。
今回の遠征の目的は、日本武道館で行われた“Act Against AIDS 2018 THE VARIETY 26 ~遂に!俳優だけの武道館ライブ!!...大丈夫なのか!?~”(タイトル長ぇよ)
エイズ啓発運動としてベテラン俳優から若手俳優、ミュージカル俳優、歌手、声優など豪華アーティスト達が一堂に会してライブを行うものだ。
今回のこのライブに私がどうしても、なにがなんでも、いのちをかけてでも行きたかった理由。細かくあげればいろいろあるが、その中でも一番の理由。
それは
三浦春馬と神木隆之介が同じ舞台に立っているところを生で見てみたかった
からだ。
話がいったん逸れるが、私は10年ほど前に放送されていた『ブラッディ・マンデイ』を毎週めちゃくちゃ楽しみに見ていた。
惜しいことに当時はまだ神木くんのファンではなかったのでまったく意識はしていなかったのだが、今考えるとこのドラマ、三浦春馬・佐藤健・神木隆之介とアミューズ俳優ファンなら思わずむせび泣いてしまうほどのすばらしい豪華キャストだった。
三浦春馬演じるファルコンと神木隆之介演じるホーネットの心理戦は何度見てもゾクゾクするシーンだ。
この2人が同じ事務所の先輩後輩だったと知ったのはそれからだいぶ後のことだった。
私が神木くんを好きになって本格的に彼の現場に赴くようになったのはほんの3年前ぐらいからだ。
だから当然、それより前の神木くんの現場活動はあまり知らなかったわけだが、神木くんがまだ高校生ぐらいの頃に春馬くんや健くんたちと一緒にファンの前で歌い踊るというまるで夢のようなイベントがあったことを知ったときは驚いた。
昔にもどれるならいつにもどって何がしたいかと問われたら、私は迷いなくその頃の時代にもどってそのイベントに参加したいと願うと思う。
長くなりそうなので話を元にもどすが、今回のこのAAAはそんな私の願いがある意味半分叶ってしまうドリームイベントになる予感がビンビンしていたので、東京に向かっている新幹線の中でもうすでに心臓がばっくんばっくんしていた。
今回はじめての武道館ということでお得意の方向音痴をみごとに発揮し予定より20分近く遅れてなんとか現場に到着。
会う約束をしていたフォロワーさん数名とお喋りして(フォロワーさんみんなほんとにオタクなのか?ってくらいべらぼうに可愛くてびびる)、そのあとハンサムに毎回一緒に入ってくれてるへんた(げふんげふん)これまためちゃくちゃ可愛い相方ぷりんちゃんと合流。
今年はハンサムがなくて関東のフォロワーさんにも会えないんだろうなと思ってただけに、またこうして年末おなじみの顔ぶれがそろう現場に入れる喜びをひそかにかみしめていた。
中に入って席についたが2人してさっそく落ち着かない。今回当選したのがステージバック席だったので、静かに野鳥の会を開くつもりで高倍率双眼鏡を用意していたのだが思ったよりステージがめちゃくちゃ近い。これはやばい。
そうこうしているうちに暗転しいよいよライブがスタートした。
過去の出演者の名前や映像がスクリーンに映し出されたあと、客席からとつぜんサングラスにスーツ姿の岸谷さん、寺脇さん、春馬くんが登場する。
はじめて生春馬くんを見た率直な感想…
顔、ちっさ
そして3人が舞台にあがりなんやかんやお話してる時にふと舞台袖に目をやるとニッコニコしながらスタンバってる壮ちゃんが…!(ありがとうステージバック席)
壮ちゃん、たっくん、水田さん、いづけんも登場しみんなでカァ~モンベイビ~武道館☆
これは会場なかなか盛り上がりましたね。
お次は神木くんの憧れのお人である花澤香菜サマが登場されるわけですけど、その前になんとここで。まさかの。神木くんによる。紹介ナレーションが流れる!!!(発狂)
「ここからは私 神木隆之介がご紹介します。声優会のヒロイン、花澤香菜さんです!」
おいめちゃくちゃええ声!!!
ぜったいに本人渾身のええ声!!!
なんなら「あー、あのすいません。いまの “花澤” の発音がちょっと気になるんでもっかいいっすか?」って50テイクぐらい録りなおしたんじゃねぇかってぐらいの!!!!!
いや、あの、なにがおもしろいってね。この流れでいったらまぁ当然そのあとも神木くんのイケボで出演者どんどん紹介していく感じなのかなと思うじゃないですか。ところがどっこい。それっきりだったんすよ、彼のナレーション。しれ~っと花澤香菜サマの紹介だけしてんすよ。
いやいやうそでしょ?みたいな。
僕は香菜様専属ナレーション担当ですから。
もはやこれに命かけてますから。
的な?的な?
えっ、めちゃくちゃウケません????
もうあれだね?香菜サマ歌ってる時ぜったい舞台裏でめちゃくちゃ必死に聴いてたね?なんならそこだけ客席おりてペンラ振りたかったね?
だってなぜなら君は…
オタクだから!!!!!!!!
序盤から少々取り乱しましたが、お次は玉ねぎの歌の歌い出しをまちがえてテヘペロする春馬くんに軽く魂もってかれそうになったあと、いよいよお待ちかねの神木くんが小関くんと共に登場。
まず注目すべきはヘアスタイル。神木くんは髪を左サイドに流してクールなカンジにスタイリングされててそれが赤シャツ黒ネクタイの衣装にとてもマッチしてて抜群にかっこよかった。
一方の小関くんは短めの髪でスタイリッシュなんだけど全体的にふわふわとしたウェーブがかかってて彼のお顔の可愛らしさが引き立っていてよかった。
曲は高橋優の『福笑い』。これは神木くんの選曲なのだそう。
手でリズムをとりながら歌詞を1つ1つ丁寧に我々に語りかけるように歌う神木くんと、のびのびとしたやさしい声を武道館いっぱいに響かせる小関くん。涙がでそうなほど心地良いハーモニーだった。
途中神木くんが手を大きく頭上にあげて客席後方まで見渡しながら手拍子を誘っていて、ほんとに彼らしいな~好きだな~と思った。
その後も豪華アーティストたちが続々と登場し会場いっぱいに美声を披露してくれたのだが、そのあいだ中も私は内心ずっとそわそわしていた。
おそらくこのあと始まるであろうハンサムタイムに向けて静かに己の気を保つ準備をしていた。
そしていよいよ、そのときはやってきた。
ハンサムファンにはおなじみのキャラクター、ジミー君がバーンとスクリーンに映し出された瞬間、会場全体が
ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
という悲鳴につつまれる。
なにやら岸谷さんが「ハンサムとは…」みたいなナレーションをしてくださっていたのがうっすら聞こえてたような気もするが、もはやオタクは誰も聞いちゃいなかった。
かくいう私も必死の精神統一もむなしく、秒で理性を失った。
ハンサムステージ1曲目はPARTY RIDE。オタクの血を騒ぎ立てるあのおなじみのイントロが会場内に響きわたると
「イエーイ!!!!!!」
と元気に登場する若手ハンサム達。
そうそう、やっぱりこれでなくちゃ。我々ハンサムオタクの1年のしめくくりにはやっぱりこれが必要なんです。
ノリにのったまま間奏に入ったところでとつぜん神木くんが舞台袖に向かって
「お兄ちゃんたち~~~!!!!」
と呼びかけた。
ああ、ちょっと待ってくれ、まだ心の準備が…とあたふたしているところにわぁぁぁぁっとステージに登場する先輩ハンサムたち。
もうDVDの映像の中でしか見られないと思っていたハンサム卒業生たちがいま再びこうして目の前のステージに立っている。みんな卒業する前の頃と同じように本当に楽しそうにイキイキと歌って踊ってる。信じられなかった。
そして注目すべきはPARTY RIDEのフリだ。2016でいったんNEWバージョンになったフリがオリジナルにもどっていた。ドリームハンサムチームで踊るならやっぱりオリジナルでしょうということなのか。
畜生、泣かせやがる。
“今宵はまだまだこれから” でハンサムもオタクもみんなで腕をまわすフリが大好きだった私は、個人的にそれがめちゃくちゃうれしかった。
2曲目は君だけのHERO。私の右どなりの席にいらっしゃった上品で大人しそうなヅカオタ様(たぶん)から注がれる好奇の目を一切気にすることなくありったけの声量で名前をコールした。ここにきて会場のハンサムオタクが1つになる。気持ちよかった。
3曲目はキミノリズム。女の子になかなか「好き」と言えない男の子の心境を歌った甘酸っぱい青春ソングが、センターでフェロモンをむんむん放つ松岡広大のおかげでどエロい妖艶ソングへと進化していた。君は甘酸っぱいチェリーより禁断の果実をむさぼり食ってるほうがあってるぞ。
4曲目はホワセレ。小関くんと翔真くんというスタイルおばけコンビだ。2人ともスタイルだけでなく声がすごくいい。聴き惚れた。
5曲目はButterfly。さんえる兄さん。素敵。3人とも大好きだけどダンスの時に私が必ず目を奪われるのはいつも壮ちゃんだ。あの表現力はすごい。語彙力不足ですごいしか言えないのがくやしいけどすごい。
続いてハンサムステージは、いよいよクライマックスへとさしかかる。
期待と興奮でザワつく会場に、突如響きわたるカチッ…カチッ…っという時計の秒針音。
すべてを悟った私を含めた会場のハンサムオタク達がここで一斉に
ひやぁぁあぁぁぁあぁぁ
と声にならない悲鳴をあげる。
そう。夢にまでみた光景が今、目の前のステージで現実になろうとしていた。
割れんばかりの歓声を浴びながらステージに登場した春馬くん。その場の雰囲気を全身で感じているかのようにとてもうれしそうに他のメンバー達とアイコンタクトをとっていた。
そうか。春馬くんがこうして数年ぶりにハンサムメンバーとしてステージに立つことを楽しみにしていたのは、私たちだけじゃない。きっと春馬くん自身もこのときを心から楽しみにしていたんだ、と感じた。
THIS ISのイントロが流れ、春馬くんを含めたドリームハンサムチームがそろって前傾姿勢でステップをふみはじめる。
その光景が自分のぽんこつな語彙力では表現しえないほどに本当に信じられないぐらいかっこよくて、全身に鳥肌が立った。
歌いだしの“ファンファーレが鳴り響いたら~”は期待どおりの春馬くんスタート。泣いた。
そして後半いちばん盛り上がるたっくんのラップのあと、私はおもわず目を疑った。
かつてハンサム2012で春馬くんと健くんのツートップが歌っていたパート。
なんとそれを。
春馬くんと神木くんが歌っている。
しかもステージ端から中央に移動して交差する瞬間に目をあわせて笑ったあとハイタッチをしたのだ。
いま目の前で起こっている出来事がほんとうに信じられなくて、ただただ震えた。己の体がひざから崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。
冒頭で語った私の思い描いていた夢の光景が、想像をはるかに越えるカタチで現実となった瞬間だった。
夢のようなハンサムステージで完全に精魂が尽きた私は、次のディズニーメドレーを武道館の天井をみつめながら静かに聴いていた。
ふと横を見るとまったく同じ状態で放心しているぷりんちゃんがいて、この子と一緒にこの最高な時間をすごせてよかったな~としみじみしてしまった。
そしてAAAもクライマックスとなり、オールキャストでの『This is Me』。これがまた素晴らしかった。
メインボーカルのソニンちゃんの高らかな歌声とともに全員で踊る光景は圧巻だったし、なによりこの時の神木くんがもう。なんだろう。すごくイキイキと輝いて見えたというか。いやいつも神木くんは輝いてるんだけど。なんか俳優としてテレビや映画に出たり、ハンサムとしてステージに立っている時の彼とはまた違う意識をもってそこにいるというか。事務所も違えばお仕事のジャンルも違う人たちと一緒に、こうして同じステージに立って1つの物を作り上げていることを全力で楽しんでいるような感じがして。
まぁぜんぶ想像だし実際はなんも考えてなかったのかもしれないけど(笑)、なんとなく、神木くんの新しい顔をまた発見できたような気がしてうれしかった。
ラストはオールキャストが一列に並んだのだが、ここで最後のミラクルが起きる。
神木くんのおとなり、そう、ちょっと動けば肩と肩がふれあってしまいそうな距離に花澤香菜サマがいるのだ。
そうとわかった瞬間、2人のアイコンタクトをぜったいに逃すまいとスナイパー並の俊敏な動きで双眼鏡をかまえた。
さぁこい。
どうした。
ねぇねぇ。
いや、ぜんっぜん目あわせへんやん。
えっ、なんなん?あれだけハンサムの時は何回もメンバーと楽しそうにアイコンタクトとってるのに?今日はどしたん?B型特有のなんとなく今日はそういうんじゃないわ~みたいなやつなん?なんなん?(偏見)
うん。でもわかる。わかるよ神木くん。憧れの人だもん。そりゃ照れくさいよね。でもせっかくの機会なんだからもっとなんかさぁ。
じれったくてウズウズしてると、キャストが客席にサインボールを投げ始めた。ややキャストの列が乱れ会場がわぁっとにぎやかになった次の瞬間。
しゃべった.......
しゃべったぁぁぁぁっしゃオラァァァアァァ!!!!!!!!!!!!
私のいる位置がちょうど香菜サマのうしろ側で、こちらからは神木くんの顔だけしか見えず香菜サマがどんな表情でなにをしゃべったのかはわからなかったけど、神木くんの方から香菜サマに笑いかけながら「投げました?」と聞いていて香菜サマがうんうんと大きくうなずいているのが見えた。
よかった。よかったね神木くん。憧れのひとや大好きなお兄ちゃんたちや事務所の大先輩の方たちと一緒に、こうやってみんなでステージに立って。忙しい中でのリハーサルはきっと大変だっただろうけど、本番のステージを全力で楽しんでるのが伝わってきたし、会場のお客さんたちもほんとうに楽しそうで、私もめちゃくちゃ元気もらったよ。
神木くん、そしてAAAのキャスト・スタッフのみなさん。本当に忘れられないような素敵な思い出をありがとうございました。微力ながらこの活動に参加できたことを光栄に思います。次の機会も楽しみにしています。